時代劇のイメージが強い印籠ですが、実際は薬や印判を入れるための容器です。
基本的には持ち運ぶ装身具の1種であるため、耐久性の高い紙製のものが一般的です。
印籠自体は長方形をしたものが一般的で、複数の段に分割できるようになっており、それぞれの段に常備薬や印判を入れて持ち運ぶといった使い方をされていました。
江戸時代には、そうした印籠は身分や地位を象徴する装身具の1つとして認知されるようになったと言われています。
今回の骨董品買取コラムでは「印籠」の買い取りから印籠の魅力や歴史、印籠ついてご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
印籠の魅力
印籠の魅力はやはり、美しい装飾にあると言えます。
元々は装身具の1つとして実用品だった印籠ですが、身分を誇示するための装身具へとなっていくにつれ美術品的要素が強くなり、現在もその美術品的価値は非常に高く、高額で取引される印籠も少なくありません。
印籠の装飾は蒔絵や螺鈿と呼ばれる手法でつけられ、装飾の手法によってもまた違った魅力があります。
施された装飾の種類や精巧さなどで印籠の価値は上下します。
特に、幕府の御用蒔絵士と呼ばれる名工によって装飾を施された印籠は高値での買取に期待できます。
印籠の歴史
印籠が登場したのは、戦国時代と言われています。
それまでも火打石や香料などを持ち歩く文化はありましたが、当時は印籠ではなく袋に入れて持ち歩いていたという記述が「日欧文化比較」などの書籍で確認できます。
その文化が発展し、複数の薬などを持ち運べるように作られたのが印籠です。
印籠は3~5段の器が縦に重なっていて、各段に違った種類のものを入れて持ち運びます。
器の左右両端には紐を通すための穴が開いており、この穴に紐を通して器の上側で結び根付を取り付けて、帯に引っ掛けるようにして持ち運びました。
印籠が作られた当初は実用品でしかありませんでしたが、次第に印籠はものを入れて持ち運ぶための容器から自らの身分を誇示するための装飾品の1種としての使われるようになっていきました。
そのため、よりきらびやかで美しい装飾が好まれるようになり、そうした印籠は現代でも高い価値が付き高額での買取が行われています。
印籠と時代劇
印籠といえば、印籠を取り出し掲げ「この紋所が~」の台詞で、多くの人がひれ伏す様を思い浮かべる人も多いでしょう。
これは実際に江戸時代では、印籠が身分を表していたということに由来する物語であることが由来しているといえるでしょう。
その後、幕末~明治にかけて印籠に施す装飾の技術が飛躍的に高まり、完全に実用品から美術品へと転身します。
そのため、幕末~明治にかけて装飾技術が高まった頃の印籠は高値での買取が行われています。
印籠の価値と買取り
印籠の価値は、印籠の状態は当然のことながら印籠に施されている装飾によっても大きく左右されます。
純金が使われた蒔絵で装飾されたような印籠は特に価値が高いとされてるため、買取を依頼しようとお考えの方は、是非そうした部分にも注目してみてはいかがでしょうか。
現在、印籠の買取を行っている業者は、他の骨董品に比べると多くはありません。
しかし、印籠はものによって非常に高価なものもあるので、専門的な鑑定家を有する業者を利用したり、複数の業者に査定を依頼したりすることが重要です。