仏画の魅力
仏画とは、仏教絵画の意味で、その名前の通り仏教に由来する絵画のことです。
経典を基に、仏教の教義や釈迦の物語を絵画化したものや、寺社の由来、高僧の姿を描いたものなどがあります。具体的に代表的な画題を挙げると、釈迦の入滅を描いた「涅槃図」、密教の教義を絵画化した「両界曼荼羅図」、高僧の容貌を伝える「頂相」、本地垂迹説の発展と共に成立し、神域を描いた「垂迹画」などがあります。
仏画は信仰の対象として描かれ、人々の心のよりどころとされていました。仏画の魅力は、芸術的に素晴らしいということはもちろん、心を穏やかにし、「ありがたい」という思いから、思わず手を合わせたくなる、見て楽しむだけの絵画の概念を超えているところにあるのではないでしょうか。
仏画の歴史
長い仏画の歴史のなかで、特に平安時代から鎌倉時代の作品は、新しい仏教の教義が当時の中国からもたらされ、優れた僧も多くいたことにも関連し、名品が数多く誕生しました。
仏教が6世紀に日本へ伝来するとともに、仏教美術も同時にもたらされます。飛鳥時代から奈良時代の仏画は、工芸品や建築物への障壁画として描かれていました。代表的な作品は、法隆寺に伝世する「玉虫厨子」などがあります。平安時代には、密教が隆盛すると、掛幅として描かれ、堂内に掛けられて本尊として用いられるようになりました。密教の仏画で代表的なものは「両界曼荼羅図」で、「大日経」と「金剛頂経」という密教の二つの経典の教義を絵画化したものになります。
また、平安時代から鎌倉時代にかけての時期には、大和絵の技法を用い、釈迦の入滅を描いた「涅槃図」や、浄土教の教義に基づき、阿弥陀如来が死者を極楽浄土から迎えに来る情景を描いた「来迎図」が完成し、隆盛を迎えました。仏画は、鎌倉時代をピークとしながら、以降も現代にいたるまで描き続けられています。
仏教版画について
仏画の中で長い歴史がありながら、美術品として主流とならず、研究もそれほど進んでいなかった作品があります。それが仏教版画です。仏教版画は、印仏や摺仏と呼ばれ、奈良時代から制作されていました。なぜこの仏教版画が着目されなかったかというと、仏教版画がほかの仏画のように寺院などで壁に掛けられて用いられたものではなく、仏像の中や経典と共に納入されていたり、文書の表裏に摺られていたりと、人目の付きにくい所にあったためです。
仏教版画は、阿弥陀如来や地蔵菩薩などの仏像が摺られたものが大半で、それもいくつも連続して摺られてものがあります。特に著名な作品に、浄瑠璃寺の阿弥陀如来像が挙げられます。12世紀に制作されたもので、古美術店で額に収められた残欠をよく見かけます。
仏教版画は素朴で味わいのある作品が多く、これから美術的にもますます評価されていくのではないでしょうか。
仏画の価値と買い取り
仏画は、鎌倉時代までの作品が特に芸術性が高く、人気もあり価値があると言えるでしょう。室町時代以降の仏画も、保存状態がよく優れた作品であれば価値も高くなり、買取りの際の評価も高まります。