花入(花瓶)は”花生”とも呼ばれ、その名の通り、茶席に飾る茶花を入れる花器のことをいいます。
茶道の世界では、非常に大切にされているお品物の一つです。
今回の骨董品買取コラムでは、花入の買い取り、花入の魅力や歴史、桃山時代の花入などについてご紹介します。ぜひご覧ください。
花入(花瓶)の魅力
花入の魅力は、花を活けて楽しめることにあるでしょう。
花入には、金属や陶磁器、竹などで作られたものがあり、花入だけでも鑑賞して楽しむことができます。
しかし、そこに花を活けることで、さらに花入の魅力を引き出してくれます。
それはまさに人工物と自然物との調和の美であり、空間を清浄なものとし見る人の心を穏やかにしてくれます。
花入(花瓶)の歴史
茶の湯の歴史の中で花入として初めに登場するのは、胡銅と青磁です。
どちらも中国の宋時代から元時代に作られたもので日本には鎌倉時代末期に招来され「唐物」として現代でも珍重されています。
胡銅の花入は、殷時代から漢時代に作られた青銅器を手本に作られたものです。
青銅器も胡銅も、銅と錫を合わせた「青銅」で作られたもので、製作当初は黄金色に輝いていました。
しかし、当時の美意識から、胡銅はあえて黒く染めたものが当時の中国また日本で高い人気を得ました。
青磁の花入も、胡銅と同じく青銅器を手本として陶磁器で作られたものです。
代表的な窯は、北宗官窯、南宋官窯、龍泉窯で、特に龍泉窯の青い青磁は大量に作られて優品が日本に送られたこともあり、茶人達のなかで「砧青磁」と呼ばれて珍重されました。
桃山時代になると、千利休によって新しい花入がもたらされます。
創作花入の登場です。千利休の創作花入には竹花入と籠花入、瓢花入があります。
利休の創作道具の発想の原点は、お金や唐物など高級な道具を持っていない人でも誰でも茶の湯を楽しめるようにしたいということでした。
そのため、利休の創作道具の多くは、身近なものを用いて作られました。
古田織部の時代になると、創作花入はさらに変化し、伊賀や備前に代表される異形ともいえるような、技巧を超えた抽象芸術作品の域に達しました。
桃山時代の花入(花瓶)
桃山時代に作られた利休の創作花入と織部の時代に作られた伊賀や備前などの花入に共通することは、いずれも掛花入であったということです。
竹や籠の花入は今でも掛花入として使われることがありますが、伊賀の花入を掛花入として用いることはありません。
しかし、美術館で伊賀や備前、唐津など織部の時代に作られた花入をよく見ると頸部に穴が開けられ、漆で埋めた跡があります。
伊賀など焼締めの花入は、自然釉がどのように掛かるかわからないので窯出し後に正面が決められるよう複数穴が開いていることもあります。
なぜ穴が埋められているのかというと制作当初は掛花入として作られたものの、江戸時代になると美意識や流行の変化によって環が外されて床置きの花入となったためです。
この穴の有無が桃山時代の花入の真贋のポイントにもなりますので、よくご覧になってください。
花入(花瓶)の価値と買い取り
上で紹介した胡銅と青磁、桃山時代の花入は現在も高値で取引きされています。
特に織部時代の伊賀や備前の花入は、数も少なく芸術的魅力も高いため、非常に高価となっています。
そのほか、高額買い取りとなる花入は、伝来のある竹花入、古染付、仁清の花入があげられます。